記事(約1.5年前、2020年4月1日)2021年9月18日再掲 新型コロナウィルス対策に思う、戦力の逐次投入という考え方

持てるリソースを小出しにして、少しずつ様子を見ながら展開していく戦略や戦術を「戦力の逐次投入」と言います。

一般論としては、「戦力の逐次投入」は戦略的に愚策であるとされます。
理論的には間違いないことかと理解します。

例えばランチェスター戦略においては、競争相手を数で圧倒する根拠として以下の公式が述べられます。

当方の投入戦力 A
競争相手の投入戦力 B

例えば双方の戦力が量、質、地の利、運まですべて同じという前提で、双方ともに100の戦力の場合、
戦闘後の当方残存戦力=100×100-100×100のルート=0
つまり、両方とも全滅(途中で引き分けかもしれせんが)となります。

相手がが様子を見ながら20ずつ投入してきたらしめたものです。(以下小数点第一位四捨五入)
1回目 当方残存戦力=100×100-20×20のルート=98
2回目 当方残存戦力=98×98-20×20のルート=96
3回目 当方残存戦力=96×96-20×20のルート=94
4回目 当方残存戦力=94×94-20×20のルート=92
5回目 当方残存戦力=92×92-20×20のルート=90
つまり、まったく同じ戦略を保有していても逐次投入した側は全滅、当方は90%ほど戦力が温存されるというわけです。

さて、この話題を出した訳は、今現在(2020年4月1日)猛威をふるい日本においてもオーバーシュート(爆発的患者急増)が危惧される中で、政府が非常事態宣言を躊躇している状況をあるからです。
ここまでは、あくまで外出や会合などの自粛要請という比較的ゆるやかな対応に終始してきています。
そのことによって諸外国に比べて感染がかなり小規模にコントロールしてこれているという判断もあるのかと思います。

しかし、考えようによっては、これは戦力の逐次投入ではないか?一気に決着をつけるのであれば非常事態宣言を出し、厳しく外出などの規制を行うべきではないか?という考えが成り立ちえるように思えます。
私自身はどちらかというとそのように考えています。
理由は、イタリアやアメリカなどの諸外国の状況を見ていること、そしてオーバーシュートが起きてからでは敵の勢力が急拡大しもはや戦力の集中投入をしてもかなわない可能性を思うからです。

ただ、「あれは戦力の逐次投入だった。司令官は愚鈍だ。」などという批判をするのはあくまでも全ての情報が明らかになっている後世においてのことです。
まさにその時において、
〇敵の正確な戦力がわからない
〇敵の戦闘方針・作戦が見えない
〇敵の兵站が十分に見えない
等々
そんな状況下において、まずは主力を温存して少しの戦力で様子を見よう、などという意思決定をすることは愚かとは言い切れません。

大事なことは、敵に関する情報ということになります。

さて、そのような前提で今のコロナウィルスのことを考えてみると、

上記しましたように、諸外国において起きている事実という「敵に関する情報」が豊富に存在する今、

やはり、今が戦力の集中投入の時期ではないかと思うわけです。

非常事態宣言による経済的損失をおっしゃる方もいますし、その危惧は理解できなくはありません。が、ここで英断せずにこの状況がだらだらと長引くことによる損失のほうが大きくなる可能性があるのではないか考える次第です。

いずれにしてもここ1ヵ月以内に政府の方針、感染の勢いなどが見えてくることでしょう。
不安を感じながら自らの感染予防に最善を尽くす以外にはないわけですが、、、


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