前回では、月次分析は目標と実際、目標と予想値とのギャップの原因をさぐり、それへの対策を明らかにすることが目的である、というところまで示しました。
また、分析の対象は管理会計においてともすれば偏りがちな原価分析に限定しない、というよりむしろ経営戦略に軸足をおいた分析にこそ重きを置くべきというニュアンスのことを述べました。
さて、分析とは分解すること、原因等を具体化していく作業です。
その際、一つの指標をいくつかの要素に分解する手法がよくつかわれます。
例えば、
・売上高=販売価格×1回当たり購入数量×購入回数×顧客数
・新規顧客売上高=訪問件数×面談率×見積率×成約率×平均販売単価
等たくさんあります
分解したら重要な2つの要素に絞り込んでマトリックスにするのも有効です。私は散布図が結構好きでよく使います。経験上散布図は3つの目的で活用できそうです。
その1:
明らかに正又は負の相関がある2要素で分析、相関からかずれた異常データを発見する。赤丸の箇所はもしかしたら異常かもしれません。
その2:
特に重要な2つの要素のマトリックスで各データの位置づけを見る。その際、ひとつの指標を掛け算で2つの要素に分解することも多い。
3つの製品群の推移と経営環境を照らし合わせて資源配分を考える。
その3:
正又は負の相関がありそうな2要素間の相関を検証し、相関があれば関係式を作成する。これはたくさんあります。マクロ環境指標と特定の事業との相関、特定の社会事象や自然環境と業績との関係、あるいは固変分析にも使えます。
分析してわかりやすく説明する方法はいろいろあります。例えばあまり知られていない12カ月移動平均法というのも効果的だと思ってます。これは季節変動を排除して大きな傾向を見るのに有効です。
もちろんその他一般的なグラフ表現も含めて様々な分析ツールがありますが、大事なことは漫然と前例踏襲で分析するのではなく、常に仮説を持ちそれを検証するということに主眼を置くべきでしょう。
仮説をたてて分析する際には戦略に対する理解は欠かせません。もちろん明確な戦略が存在しているという前提ではありますが、、、
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