職業柄、様々な企業におじゃまし計数資料を拝見しますが、必ずしも明確な目的を持たないままに、極論すれば惰性で作り続けられている資料が結構たくさんあることに気づかされます。
結果、その資料に基づいた意味ある議論が行われることは少なく、売上と利益だけを見て終わったり、叱責、気合、根性論に終始したり、できない理由ばかりが主張されたり、あまり有意義とは言えません。
そのような背景、作成者側の事情として少なくとも3つあるように感じます。
(1)過去からやっていることを変えるのは手間だしリスキー
(2)深く仕事の意味を考えず、決められたことをもくもくとこなす仕事スタイルが身に沁みついている
(3)業務のあり方や課題を深く知らないので、そもそも意味のある資料を作成できる前提がない
そして、資料の提供を受ける側の事情としても3つ、
(1)自分以外にその資料を役立てている人がいるかもしれないと思って放置している
(2)出された資料を十分に使いこなせないのを明らかにすることで自分の無能さを証明したくない
(3)経験と勘に基づくマネジメントが身についており客観的な分析の意義に気がづいていない(決して経験と勘を軽視しているわけではありません。後で述べる仮説立案には経験と勘は重要です)
さて、今更ながらですが、月次分析の目的ってなんでしょうか?
忙しい中一所懸命分析をやるわけですから当然目的があります。もちろん習慣だからやるっていうのは目的とは言えません。
もちろん金融機関や投資家に報告する目的で分析することもありますが、本来は内部での問題解決を目的であるべきでしょう。問題解決につながらない分析に価値はありません。
問題解決の「問題」とは何ですか?ビジネスにおける「問題」は、「定期テストや入学試験、研究テーマとしての問題」とは少し異なります。
ビジネスにおける「問題」は目標と現状、もしくは目標と将来予想とのギャップのことを言います。前者はフィードバック、後者はフィードフォワードによって明らかになります。
フィードバックは過去の実績を対象とするのに対して、フィードフォワードは将来における予想を対象とします。月次実績を対象とするのが前者、今期の着地点予想を対象とするのが後者です。
フィードバックもフィードフォワードも明確な目標の存在を前提とします。ときには前年実績等過去と比較することも実務では行われますが、それは前年実績を目標の代替として使っているに過ぎません。
つまり、有意義な分析の前提として目標が必要であるということです。もちろん数値化できるものだけが目標ではありません。あるべき姿=状態も目標になりえます。
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