イオンとセブンアンドアイのキャッシュフローバランス

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✔この記事は、「櫻井道裕の経営雑感」からの転載記事です。

「イオン、投資6割増」の見出しが朝刊に踊っています。

既存店の改装投資が中心のようですが、消費増税後の販売低迷に喝を入れるということです。

実は、イオンやセブン&アイなどのスーパーのキャッシュフローについては、10年以上ウォッチしています。

特に、自らの稼ぎである営業キャッシュフロー(営業CF)、
設備投資などによる多くはマイナスのキャッシュフローである投資キャッシュフロー(投資CF)、
そして借入やエクイティーファイナンスなどによる資金調達や返済による財務キャッシュフロー(財務CF)、
これら3つのバランスを中心に見ています。

イオン及びセブン&アイのこれら3つのキャッシュフローバランスについて、見てみましょう。

イオン・セブンのCF

何がわかるでしょうか?

○営業CFの額が、イオンはセブン&アイに比べて不安定で、額的にも少ない
○イオンは営業CFを大きく超える投資をしている期がたくさんある
○セブン&アイはほぼ営業CFの範囲内で投資をしている。特に、2008.3以降は計ったように(計っているのでしょう)営業CF内に投資CFを収めている
○イオンはこのように過剰投資の傾向が続いているので、キャッシュ不足を埋めるために外部の資金への依存が大きい(財務CFのプラスが大きい)
○その内容は、短期借入金・コマーシャルペーパーや社債の発行、更には長期借入金の借り換えとなっている

過去10年間の数字を見てみると、
○イオン
営業キャッシュフロー合計= 2,561,947百万円
投資キャッシュフロー合計=▲2,814,365百万円
財務キャッシュフロー合計= 501,093百万円
「長期的に(5年程度のスパンで)投資CFのマイナスは、営業CFプラス内に納めなければならない」という一般原則からすると過剰投資です。
○セブン&アイ
営業キャッシュフロー合計= 3,507,723百万円
投資キャッシュフロー合計=▲2,668,702百万円
財務キャッシュフロー合計= ▲537,761百万円
既に述べていますように、見事に営業CF内に投資が収められています。
その結果、余剰資金で返済ができており、10年間で5千億以上の有利子負債が削減されています。(逆にイオンは5千億以上の有利子負債が増加している)

5年以上イオンやセブン&アイのキャッシュフローを見続けています。

イオンは、以前はもっと過剰投資気味でしたが、リーマンショック後の業績低迷の中、最近は少し投資を手控えてきていました。
一時的に多少過剰投資であっても、それが大きなリターンとして帰ってくれば問題は少ないのですが、過去の大きな投資を回収できないままにリーマンショックに見舞われた形になっています。

一方のセブン&アイはリーゾナブルな投資で、リーマンショック後も営業CFを大きく落とすことなく安定的に大きな営業CFを稼いでいます。

両社の貸借対照表を見ると象徴的なことがあります。

所要運転資金(売掛債権+棚卸資産ー買掛債務)において、

イオンはプラス、つまり運転資金の調達が必要な構造になっています。
セブン&アイはマイナス、所要運転資金がマイナスと言うのは、つまり短期資金が余剰であることを示しています。

セブン&アイの長年にわたる効率経営を象徴する指標です。

もちろんセブン&アイも多額の投資を続けています。が、一方では地道な業務改革を継続していることがうかがわされます。
戦略的な投資とオペレーション効率の追求が車の両輪として機能しているのがセブン&アイということになりそうです。

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